投資ファンドを考える・・・
- 2008/05/31
- 13:38
世の中には、さまざまな『元本確保型ファンド』があります。
特に日本人は、この元本確保という響きに弱いらしく、募集の都度多くのお金を集めているようです。
この元本確保の仕組みには幾通りかありますが、最も一般的なものは一定期間持てば(発行主体が破綻しない限り)必ず、ある一定の金額で償還される債券(いわゆるゼロ・クーポン債)を活用したものです。
例えば仮に、投資家から100億円のお金を集めたとすると、
そのうち
1.ゼロ・クーポン債に60億円
2.残りの40億円を積極投資
と配分するという具合です。
現在2016年に満期を迎える、ゼロ・クーポン米国債の時価は約60ドル、これが2016年には100ドルで償還されることになります。
従って、上記の1の60億円部分は(米国が破綻しない限り)2016年には100億円になり、例え2の40億円がゼロになっても、投資家から集めた100億円は確保できるという仕組みです。
仮に米ドル建ての債券のように、(現在)5%程度の利回りを持つ債券を
組み込んだ場合、
・積極運用部分が40%程度
・償還までの期間が13年程度
というのが一般的なパターンですが、これが豪ドルやニュージランド・ドル
など、より高金利な通貨建てで組成された場合は
・償還までの期間がより短くなる(7~8年程度)
あるいは
・(満期までの期間が13年程度と長い場合)元本確保の率が、当初投資額
に対して140%~150%程度と高くなる
以上のいずれかのパターンで商品化することができます、その理由は上記の
ような元本確保型商品の仕組みがわかれば、ご理解いただけると思います。
さて、このような特性を持った元本確保型商品ですが、そもそも保守的な志向の強い投資向けに作られた商品なのですが、最近ではヘッジファンドと組み合わせることにより、ヘッジファンドの持つ高いリターンを狙いつつも、元本を確保したいという新たなニーズも満たしつつあるようです。
さらに、仔細に見てゆきますと、これらの『元本確保型ヘッジファンド』にも、いくつかのパターンがあることに気づきます。
一つは、(元本確保型ヘッジファンドの老舗といっていいでしょう)M社の一連のシリーズに代表される商品です。
これらのファンドは、積極運用分(例えば全体の40%程度)をさらにレバレッジを掛けて(40%部分を例えば160%程度に膨らませて)同社の運用するファンドを組み入れるというものです。
この結果
・元本確保部分(ゼロ・クーポン部分)が、初期投資額の60%程度
・積極運用部分が初期投資額の160%(レベレッジ後)程度
になるわけです。
仮に積極運用部分で、M社が運用する旗艦ファンド(仮にファンドA)に全額投資するとどうでしょうか。
ファンドAは1991年の設定以来、年間の平均リターンが18%台となっています。
従って、この場合ファンド全体の(期待)リターンは、年率で約29%程度
(18%×160%=29%)となるわけです。
注)ただし、ここではお話を簡単にするため、元本確保部分が稼ぐリターン
は無視しています。
一見とても有利なように見えますが、当然、リターンの裏側にはリスクがあります。
レバレッジが高まる分、リスク(価格変動)もリターンの増幅率60%と同じ割合で大きくなりますので注意が必要です。
ただし、このM社のファンドAは設定以来年間を通してマイナス・リターン
を一度も記録していません、さらに申し上げればM社の元本確保型ファンド
は、実際にはファンドAのみではなく、他にもファンドAと相関性の低い
ミドル・リターンのファンドも組み入れていますので、レバレッジに対する
配慮がなされた、ある意味で洗練されたファンドと言ってもよいのではないでしょうか。
二つ目は、年に数回S社(元Q社)が設定する『元本確保型ファンド』
です。
こちらの仕組みは至ってシンプルで、例えば現在募集中の商品をみますと
・元本確保部分として、ゼロ・クーポン債を78%
・積極運用部分として、同社の(仮に)ファンドCを22%
を組み入れたもので、積極運用部分についてはレベレッジを掛けず(あるいは僅かにレバレッジを掛けている可能性はありますが、ほぼ)そのまま全額でファンドCに投資しています。
ファンドCは同社のファンドの中で、最もハイリスク・ハイリターンの商品で、過去の運用実績は年率+38%ですが、実際には組み入れ比率は上記のように僅か22%、その結果、過去のリターンから導いた期待収益率は15.6%と物足りないものになっています。
ではこのファンド、なぜレベレッジを掛けてもう少し高めのリターンを狙わないのでしょうか。
恐らく、S社のファンドは(M社のファンドと違い)価格変動が大きく、レバレッジを掛けて組み入れた場合、(特に運用初期の段階で)ファンドCの値動き次第では、積極運用部分を早々に全て失ってしまう可能性が出てくる・・・・このような理由からではないでしょうか。
このようなS社型の元本確保型ヘッジファンドであれば、何も「出来合い」
の商品を購入する必要は無く、投資家自身がゼロ・クーポン債とヘッジファンドからなるポート・フォリオを作ればよいだけのように思いますが・・・いかがでしょうか。
一方で、個人投資家がレベレッジを効かせつつファンドに投資することが難しいという現状を考えると、M社型の元本確保型ヘッジファンドを購入することは一定の意味があるように思います。
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特に日本人は、この元本確保という響きに弱いらしく、募集の都度多くのお金を集めているようです。
この元本確保の仕組みには幾通りかありますが、最も一般的なものは一定期間持てば(発行主体が破綻しない限り)必ず、ある一定の金額で償還される債券(いわゆるゼロ・クーポン債)を活用したものです。
例えば仮に、投資家から100億円のお金を集めたとすると、
そのうち
1.ゼロ・クーポン債に60億円
2.残りの40億円を積極投資
と配分するという具合です。
現在2016年に満期を迎える、ゼロ・クーポン米国債の時価は約60ドル、これが2016年には100ドルで償還されることになります。
従って、上記の1の60億円部分は(米国が破綻しない限り)2016年には100億円になり、例え2の40億円がゼロになっても、投資家から集めた100億円は確保できるという仕組みです。
仮に米ドル建ての債券のように、(現在)5%程度の利回りを持つ債券を
組み込んだ場合、
・積極運用部分が40%程度
・償還までの期間が13年程度
というのが一般的なパターンですが、これが豪ドルやニュージランド・ドル
など、より高金利な通貨建てで組成された場合は
・償還までの期間がより短くなる(7~8年程度)
あるいは
・(満期までの期間が13年程度と長い場合)元本確保の率が、当初投資額
に対して140%~150%程度と高くなる
以上のいずれかのパターンで商品化することができます、その理由は上記の
ような元本確保型商品の仕組みがわかれば、ご理解いただけると思います。
さて、このような特性を持った元本確保型商品ですが、そもそも保守的な志向の強い投資向けに作られた商品なのですが、最近ではヘッジファンドと組み合わせることにより、ヘッジファンドの持つ高いリターンを狙いつつも、元本を確保したいという新たなニーズも満たしつつあるようです。
さらに、仔細に見てゆきますと、これらの『元本確保型ヘッジファンド』にも、いくつかのパターンがあることに気づきます。
一つは、(元本確保型ヘッジファンドの老舗といっていいでしょう)M社の一連のシリーズに代表される商品です。
これらのファンドは、積極運用分(例えば全体の40%程度)をさらにレバレッジを掛けて(40%部分を例えば160%程度に膨らませて)同社の運用するファンドを組み入れるというものです。
この結果
・元本確保部分(ゼロ・クーポン部分)が、初期投資額の60%程度
・積極運用部分が初期投資額の160%(レベレッジ後)程度
になるわけです。
仮に積極運用部分で、M社が運用する旗艦ファンド(仮にファンドA)に全額投資するとどうでしょうか。
ファンドAは1991年の設定以来、年間の平均リターンが18%台となっています。
従って、この場合ファンド全体の(期待)リターンは、年率で約29%程度
(18%×160%=29%)となるわけです。
注)ただし、ここではお話を簡単にするため、元本確保部分が稼ぐリターン
は無視しています。
一見とても有利なように見えますが、当然、リターンの裏側にはリスクがあります。
レバレッジが高まる分、リスク(価格変動)もリターンの増幅率60%と同じ割合で大きくなりますので注意が必要です。
ただし、このM社のファンドAは設定以来年間を通してマイナス・リターン
を一度も記録していません、さらに申し上げればM社の元本確保型ファンド
は、実際にはファンドAのみではなく、他にもファンドAと相関性の低い
ミドル・リターンのファンドも組み入れていますので、レバレッジに対する
配慮がなされた、ある意味で洗練されたファンドと言ってもよいのではないでしょうか。
二つ目は、年に数回S社(元Q社)が設定する『元本確保型ファンド』
です。
こちらの仕組みは至ってシンプルで、例えば現在募集中の商品をみますと
・元本確保部分として、ゼロ・クーポン債を78%
・積極運用部分として、同社の(仮に)ファンドCを22%
を組み入れたもので、積極運用部分についてはレベレッジを掛けず(あるいは僅かにレバレッジを掛けている可能性はありますが、ほぼ)そのまま全額でファンドCに投資しています。
ファンドCは同社のファンドの中で、最もハイリスク・ハイリターンの商品で、過去の運用実績は年率+38%ですが、実際には組み入れ比率は上記のように僅か22%、その結果、過去のリターンから導いた期待収益率は15.6%と物足りないものになっています。
ではこのファンド、なぜレベレッジを掛けてもう少し高めのリターンを狙わないのでしょうか。
恐らく、S社のファンドは(M社のファンドと違い)価格変動が大きく、レバレッジを掛けて組み入れた場合、(特に運用初期の段階で)ファンドCの値動き次第では、積極運用部分を早々に全て失ってしまう可能性が出てくる・・・・このような理由からではないでしょうか。
このようなS社型の元本確保型ヘッジファンドであれば、何も「出来合い」
の商品を購入する必要は無く、投資家自身がゼロ・クーポン債とヘッジファンドからなるポート・フォリオを作ればよいだけのように思いますが・・・いかがでしょうか。
一方で、個人投資家がレベレッジを効かせつつファンドに投資することが難しいという現状を考えると、M社型の元本確保型ヘッジファンドを購入することは一定の意味があるように思います。
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